外科 > 乳がんの診断・治療

 日本では乳がん患者が年々増加し、女性がかかるがんの第1位になっています。毎年4~5万人の人が乳がんにかかっています。乳がん患者は30代後半から徐々に増え始め、40歳代後半にピークがあり、他のがんに比べると、仕事や子育てで忙しい年代に多い特徴があります。乳がんは早期発見できれば完治する可能性が高いがんです。当院は、地元密着型の病院として、患者さんのお話をじっくりお聞きし、個々の患者さんのニーズにあった医療の提供を心掛けています。

1.乳房に自覚症状がある方、検診で要精査とされた方の診察

 乳房にしこりを見つけた場合はお早目に受診してください。また、検診で精査が必要とされた場合は、検診結果と(可能であれば)画像を持参してください。

 問診、視触診の後、マンモグラフィや超音波検査(エコー)、MRIなどの画像診断に加え、必要であれば細胞診や針生検(組織診)を行って診断します。乳がん以外で症状をきたす主な病態は以下の通りです。

乳房痛

 乳房痛は乳がんの症状としてはまれで、検査で問題がなければあまり心配する必要はありません。女性ホルモンの変動が影響していると考えられています。

のう胞(のうほう)

 乳腺組織の一部(乳管など)がひろがって袋状になり、中に水がたまった状態をいいます。基本的に治療の必要はありません。がん化することもまずありません。

線維腺腫(せんいせんしゅ)

 20~40歳代の女性に多くみられる良性のしこり(腫瘍)で、良性と確認できれば、大きさ3cmぐらいまでは定期検診で変化がなければ治療の必要はありません。3cm以上であれば切除をお勧めすることがあります。がん化することはまずありません。

葉状腫瘍(ようじょうしゅよう)

 ほとんどが良性(他臓器に転移しない)ですが、悪性化(他臓器に転移し命にかかわる)する可能性のある腫瘍です。葉状腫瘍が疑われる場合は切除をおすすめします。

乳管内乳頭腫(にゅうかんないにゅうとうしゅ)

 しこりとして触れたり、乳頭(乳首)からの分泌物の原因となります。検査で良性と判断できれば、経過観察で問題ありませんが、がんとの鑑別が難しい場合、分泌物が多くてお困りの場合は切除(摘出生検)をお勧めします。

乳腺症(にゅうせんしょう)

 乳腺組織は女性ホルモンの変動により変化しますが、その変化が強い状態です。女性ホルモンのバランスが崩れたときにおこるといわれています。乳房に痛みが生じたり、小さなしこりができることがあります。検査で問題がなければ、基本的に治療は必要ありません。

石灰化(せっかいか)

 体内のカルシウムが結晶化して沈着することをいいます。乳腺だけでなく体のどこにでも起こりえます。通常、マンモグラフィでよく捉えることが出来ます。石灰化のほとんどは良性のものですが、乳がんに関連する石灰化もあります。

乳腺炎(にゅうせんえん)

 炎症や細菌感染により、乳房が赤く腫れたり痛みや熱感を伴う状態です。乳癌との鑑別が難しい場合もあります。原因により治療が異なりますので、お早目に受診してください。

 

2.乳がんの診断、治療

 当院は日本乳癌学会関連施設であり、患者さんの状態に合わせた標準治療を行っています。

 画像診断で疑わしい部位があった場合、病理検査(顕微鏡でみる検査)を行い乳がんであるか調べます。乳がんと診断されたら、リンパ節や他臓器に転移がないか調べます。

 乳がんのタイプ・進行度(ステージ)、患者さんの希望・体力などを考慮し、局所治療と全身治療を組み合わせて行っていきます。

  • 局所治療…手術、放射線治療
  • 全身治療…薬物療法(内分泌療法、化学療法(抗癌剤)、分子標的療法)

 手術は、乳腺を部分的に切除する乳房温存療法や、術前診断でリンパ節転移のない患者さんには、センチネルリンパ節生検を実施し、過剰な切除を行わないように配慮しています。

 放射線治療は当院では施行しておりませんが、半田市立半田病院等と連携をとることが可能です。

 乳房をすべて切除した後の乳房再建術については形成外科と連携して行うことが可能です。

3.検診(市民検診、職域健診、ドック)(健康管理センターで行っています)

 乳がんを早期に発見するためには定期的な検診が有効です。また、乳がんは自分で発見できる数少ないがんの一つです。月に1度は自己触診を行いましょう。(当院で検診を受けられた方には自己触診の方法も指導しています)

 当院では、常滑市の乳がん検診(視触診、マンモグラフィ)を実施しています(40歳以上の女性)。日本では欧米に比べマンモグラフィ検診受診率が低く、欧米では乳がん死亡率が低下していますが、日本ではまだ上昇し続けています。ぜひ、定期的にマンモグラフィ検診を受けましょう。しかし、マンモグラフィで描出されない乳がんもあり、検出精度をあげるためには超音波検査の併用が有効ともいわれています。特に、閉経前の高濃度乳房(乳腺の密度が高い状態)の方では超音波検査もお勧めします。人間ドックについては、当院 健康管理センターへお問い合わせください。

 患者さんがお気軽に受診できるように、原則医師、技師ともに女性スタッフで対応させていただいています。都合により女性スタッフが対応できない場合もありますので、事前に病院(外科外来または健康管理センター)へお問い合わせください。

4.遺伝性乳がんについて

 乳がんの5~10%は遺伝性であるといわれています。遺伝性乳がんの情報を知っておくことは患者さんや血縁者の方々の健康管理に有用であると考えられます。

 遺伝性乳がんの多くで、BRCA1, BRCA2遺伝子に変異がみられることが知られており、BRCA1/2いずれかの変異を持つ人は乳がんを発症しやすいといわれています。

 身内に乳がんや卵巣がんの方が複数いる、若年で乳がんにかかった方、両側性乳がんや男性乳がんの方がいらっしゃる場合は、遺伝子に変異がある可能性があります。ご心配な方は一度ご相談ください。