循環器内科
篭谷 泰代
所属 | 循環器内科 |
---|
ドクターインタビュー
篭谷先生は秋田県のご出身ですね。
はい。奥羽山脈の麓の横手市出身です。自然豊かで、四季の移り変わりが鮮やかな土地です。温泉も多く、豪雪地帯でもあります。大学卒業まで秋田で過ごした後、トヨタ記念病院を臨床研修病院に選び、愛知県にやってきました。研修後も同院に残って6年間循環器内科医として研鑽を積み、今年四月に常滑市民病院に赴任しました。
循環器内科医のやりがいは何ですか?
息も絶え絶えで運び込まれた心筋梗塞や心不全の患者さんを、カテーテル治療とその後のICU管理によって自分の手で救うことができる。そんなダイナミックさにやりがいを感じます。循環器内科医には、強い体力や瞬時の正確な判断力が求められます。拘束時間が長いので寝不足が続くことも多く、家庭との両立も大変ですが、この道を選んでよかったと思っています。
急性期の治療は、常に一刻を争うと思いますが、心がけていることはありますか。
「慎重かつ大胆に」を心がけています。緊急の場合こそ、冷静に周囲を見渡し、患者さんの状態の変化に常に気を配りつつ、瞬時に決断し、勇気を持って手技を行わねばなりません。
そして、決断に当たっては、“最悪の場合”を想定するよう心がけています。前の病院で、心筋梗塞により救急搬送され、心破裂(*)が疑われる患者さんがいました。カテーテルで冠動脈を広げる治療をするか、カテーテル検査のみにとどめて経過観察するかの2つの選択肢があり、前者を選びました。一旦容体は安定しましたが、一抹の不安があり、集中治療室で一晩中付いていました。翌朝急にバイタルが悪化し、緊急手術となりました。幸い多くの医師も出勤してきたので人手がたくさんあり、患者さんは助かりましたが、この経験は忘れられません。
市民のみなさんにメッセージをお願いします。
心臓や血管の病気は、高血圧や高脂血症、糖尿病などの生活習慣病が前兆になっていることが多いです。定期的に健康診断を受けて自分の体の状態をチェックし、生活習慣を改善することが、病気の予防につながります。また、特に高齢の方は“我慢強い“ので、体調が悪くてもなかなか来院されず、病気を悪化させてしまうことがあります。胸が苦しいとか足がむくんだというような症状がある方は、ぜひ受診するようにしてください。
(*)心臓の壁に亀裂が起こり、血液が流出する状態。心嚢と呼ばれる心臓を包む薄い膜と心臓の間に血液がたまって心臓が拡張できなくなり(心タンポナーデ)、死に至る。