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リハビリテーション科

医師一覧

  • リハビリテーション科 山村 裕明 日本リハビリテーション医学会専門医・指導医

脳卒中とリハビリテーション

1.脳卒中とは

 脳卒中は脳の血管が詰まったり切れたりすることで脳細胞の障害を生ずる疾患です。最近の統計では年間約12.4万人が脳卒中で死亡し、悪性新生物(がん)、心疾患、肺炎に次いでわが国の死因第4位となっています。しかしながら高齢化の影響もあり、年間約30万人が新たに脳卒中となり、脳卒中患者数は300万人を超える数に達していると推定されています。また、介護保険制度の要介護者のうち約24%が脳卒中で、寝たきり患者さんの約4割が脳卒中後遺症によるとされています。健康管理により脳卒中の発生を未然に予防し、救急医療により死亡率を下げ、リハビリテーションにより身体障害を軽減することは国民的課題といえます。

 

2.脳卒中による障害

 脳卒中による身体機能障害は意識障害、認知症、失語症、失認、失行、抑うつなどの認知障害、嚥下障害、眼球運動障害(物が二重に見える)、構音障害などの脳神経障害、片麻痺、運動失調などの運動障害、さらにしびれ、痛みなどの感覚障害、便秘、失禁などの自律神経障害と極めて多種多様です。脳の障害の場所によりこれらの症状が組み合わさって出現するので、症状が全く同じという患者さんは一人もいないと言ってもよいほどです。さらに初期治療に時間がかかり、長期間の臥床を強いられると、関節拘縮(関節が動きにくくなる)や筋萎縮(筋肉が弱る)といった使わないことによる運動障害、すなわち廃用症候群が加わり、症状はさらに複雑になります。型どおりのリハビリテーション治療ではうまくいかず、一人ひとりの患者さんに最も適したオーダーメイドの治療プログラムが必要となります。

 

3.リハビリテーションの役割

 これらの障害が生じた方でも、歩行の自立や、日常生活をおくれるようにするための治療がリハビリテーションです。そのために、リハビリテーション科医が診察し、医学的な検討を加えた上で、理学療法、作業療法、言語聴覚療法などを処方します。しばしば装具療法も行います。

 

4.リハビリテーションの流れ

 一般に脳卒中リハビリテーションは急性期、回復期、維持期に分けられ、急性期は発症直後から廃用症候群の予防と早期からの運動学習によるセルフケア(自発的に訓練を行う)の早期自立を最大の目標とします。回復期リハビリテーションも主治医またはリハビリテーション科医が診断の上、できるだけ早期に最大の機能回復をめざして行われ、維持期リハビリテーションは獲得した機能をできるだけ長期に維持するために実施されます。

 

5.リハビリテーションはチーム医療

 リハビリテーションのチーム医療はリハビリテーション科医の機能評価、目標設定、疾病管理、リスク管理、リハビリテーション治療計画、リハビリテーション処方に基づき、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、リハビリ病棟看護師、医療ソーシャルワーカー、義肢装具士などがそれぞれの専門性を発揮し、できるだけ速やかに患者さんの最大の能力を引き出すべく効率的に行われます。
 常滑市民病院は、33床の回復期リハビリ病床を有しています。現在、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、リハビリテーション認定看護師、看護師など他職種で固い絆を持ってチーム医療に取り組んでおります。全員、常滑市民を始め、この地域の方々に少しでも貢献したいと思っております。

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